「自閉症」と言えば、多くの人が耳にしたことはあるくらいの言葉だと思います。

でもその中身については、「なんとなく聞いたことがある」「語感から何となく想像できるけど」とか、「昔はそんな診断なかったし、よく知らないな」くらいの人が多いのではないでしょうか。

そんな方にまず一言加えておきます。自閉症は、「自閉症スペクトラム」に進化しています、と。

しかしこの自閉症スペクトラムも、基本的なことは知っておくことで早期発見につながります。また特に、子供の時の早期発見が、その後の成長支援にも大変大事であることがわかってきました。

今回は、これから子育てが始まる方のために、自閉症スペクトラムの子供のことについて調べたことを、難しいこと抜きで知っておくべき基本点だけをまとめました。

 

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自閉症スペクトラムとは

まず簡単に、自閉症スペクトラムとは何であるかを説明します。

でも、多くの人にとっては「自閉症スペクトラム」より、単に「自閉症」のほうが馴染みのある言葉なのではないでしょうか。

それもそのはずで、かつては単に「自閉症」という診断が下っていたからです。まずはその辺の事情からです。

自閉症と一続きの症状

かつては、自閉症に結構似ている症状でも他に、「アスペルガー症候群」「特定不能の広汎性発達障害」などの別の診断もありました。けれども自閉症とこれらは、同じ症状や特性もあって、同じ範疇の診断として差し支えないからまとめて「自閉症スペクトラム」という診断になりました。

つまり、かつての「自閉症」+「アスペルガー症候群」+「特定不能の広汎性発達障害など」=「自閉症スペクトラム」と、今はなっているということです。

ちなみに「スペクトラム」とは、「連続体」なんていうニュアンスの意味です。自閉症スペクトラムを日本語にすれば、「自閉症と一続きの症状」というような感じでしょうか。

自閉症スペクトラム≒自閉症

では、「自閉症」という言葉を今はもう使わないのかと言えば、そうでもありません。

すでに世界的には「自閉スペクトラム症」あるいは「自閉症スペクトラム障害」が正式な診断名ですが、「自閉症」はその特徴を表した一般的な呼び名であるという理解でよいそうです。

自閉症スペクトラムとは、自閉症の特徴の総称です。英語で「Autistic Spectrum Disorder(s)」と言い、頭文字から略称「ASD」とも呼ばれています。コミュニケーションや想像力にわたり異なる特性を待つ為、認知の仕方、学習の仕方、注意の集中、感覚などに違いから、さまざまな生活上の困難を抱えており、 不登校・学習の不振・引きこもり・ニートなど多くの社会現象にも、自閉スペクトラム症が、二次的症状として深く関与しているとしていると言われています。

引用URL:NPO法人 SUN-Tatebayashi「自閉症スペクトラムとは」

自閉症スペクトラムについて話したりする際には、単に「自閉症」と言っても差し支えはない、という程の事です。

この記事においては正式診断名の「自閉症スペクトラム」で通すことにしますが、長ったらしいと思う方は、読むときに「自閉症」と読み替えて読んで頂いても結構だと思います。

また、以上の簡単な説明のお話は、子供も大人も含めた自閉症スペクトラム一般についてです。

引用では、自閉症スペクトラムについての、短い辞書的な説明もありました。自閉症スペクトラムの人は、コミュニケーションや想像力について異なる特性を持っていて、それが不登校などの二次的症状に繋がることもあるそうです。

こちらの記事も参考にどうぞ。

子供の言葉が遅い時や逆語だと不安。赤ちゃんが発達障害か心配

 

自閉症スペクトラムの診断基準

でも、どんな特性も人それぞれで違いますよね。成長して引きこもりになった人でも、自閉症スペクトラムの人であるとも限りません。

どういうことかというと、普通の人が他人の普段の様子を客観的に見て、自閉症スペクトラムであることを推測することは難しいということです。

しかし、自閉症スペクトラムは医学的に障害が認められる症状ですから、何らかの基準と根拠に基づいて判断しているはずです。

ここからが子供の場合の話になりますが、医学的には3歳ころまでに以下の2つに当てはまると自閉症スペクトラムと診断されます。

  • 社会的コミュニケーションおよび相互関係における持続的障害
  • 限定された反復する様式の行動、興味、活動

とても抽象的でわかりにくいとは思いますが、ここでは「コミュニケーションの困難と行動の偏りにより、診断される」くらいの理解で良いです。

より詳しく知りたい方は、「DSM-5における自閉症スペクトラムの診断基準」という、お医者さんが知って理解すべき世界的な基準がありますので、より詳しく知りたい方は調べてみましょう。

 

子供の様子から自閉症スペクトラムを疑うには

お医者さんが自発的に、自閉症スペクトラムに気づいてくれればよいのですが、普段の子供の変化や成長を見て、何かに気付かないといけないのはまず親です。では親として、子供の普段の様子から具体的にどのような特徴が見られれば、自閉症スペクトラムを疑ってもよいのかを見てみます。

つまり、お医者さんの診断基準に当てはまると思われる、子供の特徴は何かということですね。

普段見られる自閉症スペクトラムの子供の様子

自閉スペクトラム症が疑われる子どもの特徴の一例

  • 視線が合わないか、合っても共感的でない
  • 表情が乏しい、または不自然
  • 名前を呼んでも振り向かない
  • 人見知りしない、親の後追いをしない
  • ひとりごとが多い、人の言ったことをオウム返しする
  • 親が「見てごらん」と指さしてもなかなかそちらを見ない
  • 抱っこや触られるのを嫌がる
  • 一人遊びが多い、ごっこ遊びを好まない
  • 食べ物の好き嫌いが強い
  • 欲しいものを「あれとって」と言葉や身振りで伝えずに、親の手をつかんで連れて行って示す

など

※正確な診断のためには専門の医師や心理士による問診・面接・行動観察・検査などが必要です。

引用URL:こころの健康情報局 すまいるナビゲーター「自閉スペクトラム症とは?」

だいぶ具体的になりました。そして、このような様子が常に見受けられるようになると、不安になるように思います。

一方で、「自分の子供に当てはまるものもあるな」と思われる方も少なくないんじゃないかと思います。例えば「食べ物の好き嫌いが強い」なんて、ほとんどの子供で少しは好き嫌いがあるでしょう。どの程度のことを言うんでしょうか。また、抱っこを喜ばない時だってありますよね。

つまり、普段の様子にこうした特徴があるからといって、必ずしも自閉症スペクトラムとは限らないということです。また、それを踏まえた上では、こうも言えると思います。

  • 自閉症スペクトラムと診断されるには、その特徴の程度問題による
  • 早急に子供が自閉症スペクトラムとは決めつけず、お医者さんによる検査や診断に従う必要がある

自閉症スペクトラムの特徴を知っていると、子供にその様子が疑われた場合、親としてはまず不安になると思います。

わが子のことですから不安はなかなか消えないとは思いますが、自閉症スペクトラムであるかの判断は、お医者さんに委ねるしかありません。そこは覚えておきましょう。

自閉症スペクトラムのチェックリスト、M-CHAT   

お住いの自治体によっては、子供の1歳6か月健診などで、自閉症スペクトラム障害を早期発見するための、M-CHATというチェックリストを正式に導入しているところもあるようです。

1歳台の幼児を対象とする第1次スクリーニング用(一般の子ども用)に開発されている自閉症の行動チェックリストのうち、その妥当性が検証されているものとして、CHATとM-CHATがあります。早期発見の質問紙をふくむスクリーニングは、単独で自閉症スペクトラム児を発見するための道具ではありません。複数回行うことで、子どもの社会的発達を丁寧にみることができ、見逃しが減るでしょう。

  • CHAT(Checklist for Autism in Toddlers、乳幼児期自閉症チェックリスト、チャット)
    Baron-Cohenらによって考案されたスクリーニング尺度です。1歳半までに共同注意と見立て遊びができない子どもは、その後自閉症の診断を受けるリスクが高いという仮説に基づいています。   
  • M-CHAT(Modified Checklist for Autism in Toddlers、エムチャット)
    米国でRobinsらがCHATに修正を加え発展させたものです。M-CHATは、CHATの親質問項目に新たに14項目を追加した全23項目からなり、各項目に対して、はい・いいえで答える親記入式の質問紙です。

引用URL:発達・障害支援センター「発達障害に気づく」

CHATというのもあるようですが、主に活用されているのはM-CHATで、M-CHATでも健診で活用している自治体は、全体の2割ほどのようです。

子供の普段の様子についての23個の質問に答えていき、「はい」「いいえ」で答えていきます。ただし、この結果によって直ちに「自閉症スペクトラムという診断になる」ということではありません。

つまりは自己診断(といっても子供の代わりに)するものではなく、お医者さんに参考にしてもらうためのチェックリストであるということです。ですので、公的な権威ある機関で、このチェックリストによる診断基準のようなものは公表はしていないように思われます。

調べると一応、3つ以上当てはまると疑いありとのことがよく書いてあります。でも最終的に診断を下すのはお医者さんです。そしてくどいようですが、お医者さんもこのチェックリストだけで自閉症スペクトラムであるかを診断するわけではないです。

自分の住んでいる自治体がこのM-CHATを活用していなくても、質問はインターネット検索で出てきます。自分の子どもについて気になるようでしたら、お医者さんに相談する際の参考としては良いと思います。

 

自閉症スペクトラムになぜなるのか

自閉症スペクトラムの特徴について見てきました。でも、これってなんだか心や精神的な問題のようにも思えてくるのではないでしょうか。例えば「表情が乏しい、または不自然」なんて言う特徴は、成長し人との関りが増えていく中で、相手の反応を見ながら学んでいけるのではないかと。

要は精神面の成長やきっかけがあれば、克服していけるものじゃないかっていうことですね。

でも、自閉症スペクトラムの根本の問題は、生まれつきの脳機能の障害です。また脳機能の障害であることによって、発達障害の一種に入ります。

脳機能の障害

自閉症スペクトラムの問題が脳機能の障害であることは、間違いなく認識しておくべきことだと思います。

もし自分の子供が自閉症、そして脳機能の障害を持っていると聞くと、おそらく大変なショックを受けられると思います。またそれにより、対人関係などで子供自身にも困難が生まれることがあります。

しかしながら、問題が脳機能の障害であることによってハッキリする事実もあります。「自閉症による困難は、自分の子育ての仕方が間違っていたからではない」ということです。

この事実は重要だと思います。自分の子供が自閉症であったとしても、子育ての面からは絶対に自分を責めるべきではありません。

「障害を持っている」ことを受け止めたうえで、大事なことは今後の成長をどうサポートしていくかということです。

また、他人の子供が自閉症であっても、それはその子の親の子育てのせいではないことを知ることで、温かく見てあげることが必要だと思います。自分の子供に危害があれば大人同士で対応が必要ですが、そうでなければ同じ一丁前の親子同志だとリスペクトしましょう。

そうして、障害の有無にかかわらず、子供に温かい教育環境のある社会が理想ですよね。

感覚と思考で感じる世界の違い

自閉症スペクトラムの子供は脳機能に障害を持っているため、聴覚、視覚、味覚、臭覚、触覚、痛覚、体内感覚などすべての感覚領域で、一般の子供に比べて鈍感さや敏感さが生じえます。

この感覚の障害から、以下のような行動パターンが見られることがあります。

  • 聴覚:多くの人が気にならない空調の音が気になって寝つけない
  • 視覚:人の顔の違いがわかりにくく、名前が覚えられない
  • 味覚:味を感じられず、砂糖や塩などを大量にかける
  • 嗅覚:絵具や接着剤など工具のにおいが嫌で、不安定になる
  • 触覚:自分から触ってくるのに、人から触れられることを極度に嫌がる

これらは一例で、具体的には他にも無数に考えられます。

また思考面でも、以下のような困難が生じます。これも代表的なものの一例です。

  • 身振りや表情など言葉を介さない感情表現や行間を読み取ることが苦手
  • その場の状況を把握したり、意味を理解することが苦手
  • 多く見たり聞いたりすると頭の中で記憶が保てなく混乱する
  • 言葉で説明ができず、何とか説明しても主観的な体験やイメージで述べてしまい通じない
  • 興味を持てないことには集中できずに一般的な学習が進みにくい
  • 興味があるとやれるが過集中やこだわりを伴って止められなくなる

この困難により、場にそぐわない言動などでコミュニケーションに支障をきたしたり、感情が衝動的に沸き起こりパニック状態になってしまうこともあるようです。

つまり、自閉症スペクトラムの子供は同じ環境に住んでいても、脳の感覚や思考で受発信する環境としては、かなり違ってきてしまうということですね。

それによって、周囲との関わりの中でも目に見える形で、自閉症スペクトラムの特徴が出てきてしまいます。

脳機能の障害が生まれる理由

自閉症スペクトラムが脳機能の障害であることはわかりましたが、ではなぜ脳機能の障害が生まれたのでしょうか。

遺伝的要因や環境要因によるものという説もありますが、残念ながら原因は完全には解明されていません。

しかし繰り返しますが、親のしつけ方が原因だというお話は、完全に否定されています。

 

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自閉症スペクトラムの子供の育て方や配慮すべき点

では、自閉症スペクトラムの子供は、どのように育てるべきなのでしょうか。

結論から言えば、マニュアルはありません。それぞれの子供の症状に応じた育て方をするべきです。

しかし子育てマニュアルなんて、自閉症スペクトラムの子供に限らず、ありませんよね。あるのは配慮や注意すべき点くらいだと思います。

自閉症スペクトラムについても、その特徴により配慮すべき点はありますので、それをご紹介します。

  • その日の予定ややることをあらかじめ伝えておき、予定の変更などがあれば早めに伝える
  • 予定やルールなどを説明するのに、絵やカード、文字などの視覚的手段を使う
  • 一つひとつの行動に対する指示は短く、一つずつ細かく行う
  • 成功体験を重視し、よく褒める
  • 変わった行動やくせがあっても理解し、無理に止めない
  • パニックが起きても、日頃の本人の行動から気持ちを探り、見守ってあげる
  • 音や光やにおいなどの刺激の少ない落ち着いた環境に配慮する

ただしこれらも、よく見受けられる自閉症スペクトラムの子供からの代表的なもので、それぞれの子供に対しどう具体的に配慮し育てていくかは、またまたくどいようですが、お医者さんや保健士さんなどと相談しながら進めることになります。

子供の育児には、こちらの記事も参考にチェックしてみてください。

子供育児には子育て支援センターを活用!無料の乳幼児遊び場

 

自閉症スペクトラムへの支援

子供には健やかに成長してほしいと、誰もが願います。自閉症スペクトラムも、命にかかわるような障害ではないですが、当然、取り除いてあげたい障害になると思います。

現代の医学では自閉症を根本的に治療することはまだ不可能ですが、自閉症の人は独特の方法・手順で物事を学んでいくので、一人ひとりの発達に沿った療育や指導が必要となります。乳幼児期から始まる家庭療育・学校教育そして就労支援へと、ライフステージを通じたサポートが、生活を安定したものにすると考えられています。また、かんしゃくや多動・こだわりなど、個別の症状は薬によって軽減する場合もあります。信頼できる専門家のアドバイスをもとに状態を正しく理解し、個々のニーズに合った適切な支援につなげていきましょう。

引用URL:養育・特別支援 四谷学院「自閉症とは」

自閉症スペクトラムは、生まれつきの障害でした。先天性のものですし、原因もわかっていませんから、治療法はなく根本的に直すことはできません。

そこで、治療ではなく、できる限り通常の生活を送れるように成長するためのサポートに主眼が置かれます。

その点では、自閉症スペクトラムは発達障害の一種ですので、国も発達障害者支援法という法律を整備して、支援に力を入れています。

発達障がいをもつ方一人ひとりの生活を支援するために

平成28年8月1日に「発達障害者支援法」が改正、施行されました。改正の3つのポイントとしてあげられるのが【ライフステージを通じた切れ目のない支援】【家族なども含めた、きめ細かな支援】【地域の身近な場所で受けられる支援】です。
法律の根底には「国民のみなさん誰一人をとっても、障がいの有無によって分け隔てられることがないように」「誰もがその人らしさを尊重しあいながら、共に生きる社会の実現に役立つように」という願いが込められています。

引用URL:前衆議院議員 中根やすひろ「発達障害者支援法」改正

詳細な公的支援制度などは、お医者さんや役所などで調べることができます。また、病院や福祉施設その他、民間でサポートしてくれるところもありますので、知りたい方は調べてみると良いでしょう。

ここでは「国も本腰を入れてサポートしている」ことさえ知っておけばよいと思います。もちろん、自分の子供が自閉症スペクトラムであった場合には、できうる限り活用すべきです。

 

まとめ

  • かつての自閉症は「自閉症スペクトラム」になっている
  • コミュニケーションの困難と行動の偏りにより、自閉症スペクトラムと診断される
  • 自閉症スペクトラムの子供の様子は様々で、M-CHATが参考になるが、最終的にお医者さんが診断する
  • 自閉症スペクトラムの原因は、先天性の脳機能の障害
  • 自閉症スペクトラムの子供は、子供の特徴に応じて成長をサポートことが重要
  • 自閉症スペクトラムの治療法はないが、国の支援の対象である

自閉症スペクトラムは治療法は確立されていないけれども、その困難を克服された方の例はあるようです。

風邪のように治るものではありませんから、長いおつきあいともなってしまいますが、それだけ早く気づいてあげて、早い段階からできるだけ困難が少なくなるように成長をサポートしてあげることが大事だと思います。

具体的な特徴や対応についても書きましたが、大事なのは子供は千差万別ということですね。これは何も、自閉症スペクトラムの子供に限った話ではないですが。

そして、自閉症スペクトラムにより困難を抱えていらっしゃる子供、そして困難にもめげずに子育てをされているご両親もいらっしゃいます。

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そうした方は、健やかに育った子供やご両親とはまた違った困難も経験されていると思います。そうした方々にも思いを馳せたいですね。